2019年06月21日
脱・産廃業「日本をきれいにする仕事」石坂産業様の視察
「人を大切にする経営学会」主催
会員でありながらこういう会に参加するのは初めてです。
工場見学等、3万人が訪れるという石坂産業様
埼玉県の三芳町にある産業廃棄物事業の会社へ視察に行ってきました。
現在の社長は2代目、創業者の長女 石坂典子さん
平成14年に社長に就任され、産廃業者からリサイクル企業へ転身をはかってこられた
この美しいホームページからは想像できない
https://ishizaka-group.co.jp/
昔は、産廃業者の煙突から出る煙には
地元企業から、特に農家さんからは、相当なバッシングがあったそうです。
でも、真向に戦うのではなく、どう地域と共存できるかを考え
地域から受け入れてもらえる企業を目指し、粘り強く理解を求め
地域に受けられる事業へ変更させていった
社会貢献活動にも積極的に取り入んでいらっしゃる
でも、並大抵な努力ではなかったことは伺い知れる。
女性経営者のしなやかさ、タフさかもしれない
創業者のお父様だったら、どうだったんだろうか…
地域の方々と粘り強い対話
見学に来られた方に対し徹底したおもてなし
ふと、そんなことを感じた視察見学会でした。
まずは10時から工場見学
工場見学コースができた経緯と効果
農家と産廃業者は共存できない、出てけという看板を立てられたことがきっかけで
CO2を排出しない、燃やさない独自の処理ノウハウで屋内の処理施設をつくる
防音効果、壁面緑化 日本古来植物で日陰に強い
建物ビルを壊した廃コンクリートから砂利を再生
鉄筋を取り除く作業、風と震度で種類ごとに分別
今は手作業している部分をAI化できないか開発中とのころ
処理施設がクローズでサティアンのようだと噂がたち、工場見学のコースを作成
https://ishizaka-group.co.jp/project/plant/
見学をすること=みられることが社員教育につながっている
そのあとは、地域との共存 「三富今昔村」を散策
大人の給食
「くぬぎの森環境塾」として五感で感じる環境学習、食農育体験、おいしい体験などのワークや
自然に由来した化粧品の販売などを展開している
昔、対立した農家さんは今は協力者となっているそうです。
午後は、専務の石坂知子さん(創業者の姪)が講演内容
備忘録的に書き留めておきます。
■2年前 50周年記念 CIプロジェクト
役員をいれず、若いメンバーで構成、役員にプレゼンし以下が導入された
・コーポレートスローガン「自然と美しく生きる」
・HP刷新
・ロゴマーク Green
・作業服一新 伊勢谷さん×LEE リバースプロジェクトに依頼
役員・事務職も、同じ作業服を着るようになった
■脱・産廃屋
ミッション「日本をきれいにする仕事」
そのためには
①あいさつ ②整理整頓 を徹底させている
社員180名のうち、44名がホスピタリティコーディネータ
ホテルマンが取得するレベルの資格を取得
■今期は「インナーブランディング」
ここ5-6年は「アウターブランディング」を強化してきた
資本金を5000万円に減額し、中小企業枠でいろいろな受賞を獲得
「おもてなし事業」「ホワイト企業大賞」他、注目され
カンブリア宮殿などにも出演
社員満足度アンケートを毎年実施、項目ごとにきちんと推移をみている
どの項目も毎年あがってきてはいるものの
「はたらきがい」度が高くないのが気になるとのこと
事務系部署と生産・技術系の部署で乖離があることをきちんと把握していて
どうすれば社員満足度があげられるかを追求している
◆視察を通しての気づき
・危機に直面した企業は転換の決断と実行スピードが速い
・「脱産廃業者」地域との共存、「日本を美しくする」という高い理想や
「おもてなし」の精神を前面に出すことは、女性経営者ならではの発想力だと感じた
・作業現場でも全員気持ちいい挨拶、ご案内してくれた社員のホスピタリティの高さがすごく
教育や研修が行き届いている
・日本レーザーも同様、経営者と社員の面談、上司と部下の面談が頻繁にあることと
上司がきちんとフィードバックしている。
そういうことを通して、個人個人のミッションが明確になり
それに向かうための目標設定やアクションなど
自分たちで考える人材が育っている会社だと感じました。
50周年をきっかけに「未来の仕事を考える」冊子を作ったり
「ミドルマネジメント層の教育」に力を入れ始めるとおっしゃっていたのが印象的
足元の課題を整理しつつ、未来志向の会社の共通項
社会に共感を呼ぶ経営者のビジョンと社員第一主義の経営
こういう会社はだいたい個人個人の「キャリアデザインを考える研修」
「管理職のコーチングスキル研修」が導入されている
やっぱりですね。
すがすがしい気持ちにさせていただいた企業と従業員のみなさんと出会えたことに感謝です。